■質問者
例えば本は新聞で広告を見かけますがあれは著者が自分で費用を出すのですか?

■松尾先生
基本は出版社が費用を出し売れている本を宣伝します。
つまり売れないと出版社は費用を出して新聞広告を出してくれないのです。

出版社は月に5冊から10冊本を出しますがそのうちの1冊か2冊だけを重点本とします。
その重点本だけ営業マンが書店に行き
この本は売れているのでこの棚に置いてくださいと交渉したり
新聞広告を出してくれたりするのです。

私の場合は売れるか分からないと困るので最初に自腹で出版社に広告を出してもらいます。

自腹で書店に15万円払いワゴンで本を置いてもらうなどして売れるようにします。

そして売れるようになったら今度は出版社が
「松尾さん自然に売れるようになりましたね。」
「では我が社の広告を打ちましょう。」となります

なので出版社が動くのを待つのではなく自分でできることにお金をかけてでも実行し
その後に出版社に動いてもらうのがビジネス的に考えると良いかと思います。

運を天に任せるのではなく全て出版社や書店任せにするよりも
最初の初動は自分で作るとその後どんどん膨らんでいく可能性があります。

しかしそれを皆知らないので最初の1〜2週間はワクワクして
「どうですか?売れていますか?」と編集者に電話をします。

「まあまあですね」と言われながら1ヶ月が経ち
「動きが止まりましたね」と言われて旬が過ぎてしまいます。

旬が過ぎると書店から本はなくなり当然新聞広告も打ってもらえなくなります。
「1年かけて作った本が1ヶ月の命だった」ということはよくある話です。

■質問者
ちなみに本は図書館や学校に置かれることもあるのですか?

■松尾先生
例えば料理や家計簿の本など社会性のある本は
出版された時に図書館がまとめて購入してくれます。

私のお客様に梅酒の本を書いた方がいます。
その本は全国の図書館に1000冊も入りました。
初版4000部のうち図書館だけで1000部なので4分の1です。
そういった本は図書館に入ります。

ですが私が書いているようなビジネス書や実用書お金の本はなかなか入りづらいです。
ではどうすればいいかというと私の場合は図書館に寄贈しています。

図書館のリストをネットからダウンロードして
私の場合は新宿にセミナールームがあるのでそこを中心としてコンパスで円を描くように
本を読んでセミナーに来てもらいたいエリアを広げていきます。

例えば文京区、葛飾区、練馬区などです。

東京が終わったら神奈川県、埼玉県、千葉県
それが終わったら群馬県、栃木県です。

私のセミナーには新幹線で来てくれる方もいるので
名古屋 神戸 大阪 福岡などにも寄贈という形で本を送ります。

そうするとその本をたまたま図書館で読んだ方が私のことを知りホームページを見て
セミナーに来てくれることがあります。

またビジネス書や実用書は読んで面白かったら自分の手元に置きたいと思われるようです。
それは読み返したいからです。
小説とは違って実用書なので読みながら実践するわけです。

そのため図書館で読んで良かったからと購入してくれる人も多くなります。
結果的に図書館に本を入れたのに本が売れることはよくある話なのです。

■質問者
寄贈でも採用されるのですね。

■松尾先生
そうですね。
なので私たちビジネス書や実用書の作家にとって図書館はとても大切です。
小説や漫画など本の印税で生計を立てている人はその点に抵抗があるようです。

■質問者
他に本を有効活用する方法はありますか?

■松尾先生
例えばバックエンドに商品がある場合です。

私のように出版コンサルタントの仕事がある場合
本を書きたい人はどこにいるかと考えました。

私は地位も名誉もある人だと考えました。

そういう方々が属している会は何かと考えたら
ライオンズクラブやロータリークラブ、商工会でした。

それらの名簿は今ネットで手に入ります。
そこに寄贈するのです。

例えば赤坂ロータリークラブの方にぜひこの本を読んでくださいと送ります。
「そしてもしよろしければ講演会やセミナーをしますよ」と案内を送るのです。

私はそれをずっと続けていて実際に赤坂ロータリークラブで講演しました。
その時会員は50人から60人ほどいました。

さすがに赤坂の会長はすごい方でした。
どれくらいすごいかというと東京ディズニーランドの顧問弁護士です。
まさにお金持ちの集まりです。

お金持ちが次に欲しがるのは名誉です。
出版は名誉なのです。

そこで10万円をいただいて講演しました。
さらにそこから2名が私の著者スクールに入会しました。

1名120万円なので240万円の売上です。
つまり本を1冊送ったら240万円の売上が上がったということで
これは非常に良いマーケティングです。