インタビュアー
  • 1日にビジネス書はどれくらい出版されていますか?

 

松尾昭仁
  • 新しい本は300~400冊出版されています。

    今から約15年前は出版点数はその半分でした。
    なぜ、出版点数が増えたのかというと
    今から15年前は今ほどスマホが普及していなかったから
    電車の中で本や雑誌を読む人が多かったためです。
    スマホが本に取って代わったわけです。

    それで本が売れない時代に突入しました。

    極端な話本の売上が半分になりました。
    売れなくなった分を出版点数で補うようになりました。

    今まで月5冊の本を作っていた会社が10冊作るようになりました。
    その代わり初版が今まで1万部だったのが5千部になりました。
    8千部だったのが4千部になってその分、出版点数を倍にしています。

    これは著者側からするとラッキーなことです。
    出版点数が増えたということは本の書き手も必要になったからです。

    ここで重要なのは…
    漫画や小説は読者は著者で選びます。
    村上春樹を読みたいとか
    赤塚不二夫を読みたいとか

    ビジネス実用書は悩みの解決であったり
    知らない事を知りたいとか
    お金持ちになりたいとか
    欲求を満たすものです。

    著者名はあまり重要ではありません。

    自分は無名で新人だから出版できませんよね?と聞かれますが
    あなたは読者として本を買う時に著者名でビジネス実用書を選んでいますか?

    そんな事はないと…

    あなたが無名でも売れる売れないは
    名前自体は関係ないと言っています。

    もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
    岩崎夏海さんが書きました。

    僕は毎回のセミナーで
    もしドラの作者名を言えますか?と聞くと
    30人中2~3人しか言えません。

    本を書きたいと言っている人でも
    100万部を超えた大ベストセラーの著者名が分からないのです。

    岩崎夏海さんはもしドラの他に100冊以上本を書いています。

    もしドラ以外の岩崎夏海さんの書籍名を聞く僕も言えません。
    もしドラは売れたけどそれ以外の本は売れなかった。

    多くの読者は岩崎夏海さんの本を読みたかったわけではなかったのです。
    たまたまもしドラが空前の大ヒットをおさめたわけです。

    実際にビジネス書はそういうものです。

    ある日突然無名の新人が100万部のベストセラーになる事があります。

 

インタビュアー
  • 本が売れない時代になったからこそ
    出版の本の数が増えてその分、一般の人が著者になれる可能性が増えたのですね。

 

松尾昭仁
  • そうなんですよ
    大学で言ったら定員が倍になったような感じです。
    すごく入りやすくなりました。

    そのように出版業界も入りやすくなりました。

    一般人の感覚からするとそんな事は知りません。
    入りやすくても本を出すとすごいという価値観は変わりません。

    むしろ、インターネットで誰でも情報を出せるようになったからこそ
    紙の本は出版社の検閲が入っています。
    だからこそ紙の本を出版した時の信用度は増しています。

    本を出したい人は増えています。

    ヒカルや●●社長とか有名YouTuberってみんな本を書いています。

    彼らはインフルエンサーとして有名になってお金も相当稼いでいます。
    別に本なんて書かなくてもいいはず。

    だけど世間で言うインフルエンサーは本を書いています。

    ネット上では空中戦本は地上戦です。
    特に親が喜ぶとか親戚が喜ぶとか
    そういったところも取りに来ていると思います。

 

インタビュアー
  • SNSの時代だからこそ出版のメリットが強くなっているのですね。

    彼らが本を出したがるのはそういう事だと思います。