ビジネス書を
出版するために
押さえておきたいこと

担当編集者はパートナーであり、エージェント

編集者は出版社とつながる唯一の窓口

編集者はパートナーであり、エージェントですから、編集者とのコミュニケーションに著者は気を遣う必要があります。
 
編集者の立場になってみれば想像はつくでしょうが、編集者もイヤな著者とは付き合いたくはありません。たとえば、自分の言いたいことばかり主張し、編集者のアドバイスや要望に聞く耳をもたなかったり、著者のほうが立場は強いと勘違いして横柄な態度をとったりしていれば、編集者は「この人と一緒に本はつくりたくない」という気持ちになり、結果的に企画書は通らない(通さない)でしょう。
 
また、本ができあがってからも、「なんでうちの地元の書店に並んでいないんだ! もっとしっかり営業してくれ!」「他の本は新聞広告を出しているのに、なぜ私の本は宣伝してくれないんだ。不公平だ!」と編集者に不満をぶつける人もいます。こればかりは、編集者の力だけで解決できる問題ではありません。出版社としては当然、売れている本を優先して販促するからです。
 
著者の都合で無理難題を投げつければ、「もうこの著者とは関わりたくない」と思うのが人間の当然の心理です。二度と執筆を頼まれることはないでしょう。
著者スクールのある卒業生は、「僕は本が出るまで忠犬になったつもりで、編集者の言われた通りにしました」と半分冗談、半分本気で話していましたが、「主導権は編集者が握っている」という気持ちでいたほうが万事うまくいきます。
 
編集者に嫌われてしまったらそこで終わりです。基本的に編集者はあなたの味方ですが、人間関係が崩れてしまったら、あなたは出版社とつながる唯一の窓口を失うことになってしまいます。
だとすれば、編集者との関係を良好にする気遣いも必要です。出版に向けて面会の時間をとってもらえたなら、お菓子などの手土産を持参していくなど、それなりの誠意や気遣いを見せることも処世術のひとつ。
 
人は他人から何らかの恩を受けると、お返しをしたくなるものです。これを「返報性の法則」と言いますが、相手のことを気遣える人であれば、編集者も無下な態度はとりづらくなります。