あなたの中に眠っている
本のネタを探せ
あなたが助けたい人はどんな人か?
新人著者はニッチを狙うべき
「この出版企画の読者ターゲットはどんな人ですか?」と質問すると、よくこんな答えが返ってきます。
「おもな読者ターゲットは、男性会社員です。できれば、女性にも読んでもらいたいです」
出版企画書が通らない人は、どんな人に読んでもらいたいか、はっきりしていないケースが多いのです。
読者ターゲットは絞ることが大切です。
読者は「自分のために書かれた本だ」というメッセージを受け取って、初めてレジまで本を持っていってくれます。そう思ってもらうには、「こんな属性の人、こんな環境に置かれている人に向けて書いた」と具体的に示すことが必要です。
「読者対象を広げたほうが本は売りやすい」と考えているようですが、それが効果的なのは、すでに多くの人が知っている著名人のみです。
京セラの創業者である稲盛和夫さんが書いた『生き方』(サンマーク出版)は、100万部を超えているミリオンセラーですが、「生き方」という大きくて広いテーマでも売れたのは、稲盛和夫さんが超有名経営者であり、そのテーマにふさわしい知識や経験をもっていたからです。
もし新人著者が同じように「生き方」をテーマに本を書いても、読者は手に取ってくれません。「知らない人から生き方を教えてもらおうとは思わない」というのが普通の人の感覚なのです。
新人著者は、読者対象を広げるのは逆効果。むしろ絞ってニッチを狙ったほうが、確実にターゲットとなる読者のもとに届きます。
たとえば、「お金を増やす方法」では、まだターゲットが広すぎます。誰もがお金を増やしたいのはたしかですが、資産のレベルやお金を増やす手段はさまざまですから、結局、誰にも注目されずに終わる可能性があります。
もし不動産投資のノウハウを紹介したいのであれば、「会社員が貯金ゼロから1億円の資産を築く不動産投資法」というテーマであれば、これから不動産投資を始めたいと思っている会社員は興味をもってくれます。
「不動産投資」のように、比較的類書が多いジャンルは、もっとターゲットを絞っても読者は獲得できます。
著者スクールの卒業生である長岐隆弘さんは、『老後破産したくなければいますぐ「都市型新築アパート」に投資しなさい』(アチーブメント出版)という本を出版しましたが、「都市型新築アパート」に絞ることで類書と差別化し、しっかりと読者をつかんでいます。また、他の卒業生は「沖縄の軍用地投資」というさらにニッチなテーマで出版企画書をつくり、現在、出版に向けて編集者と打ち合わせを重ねているところです。
新人著者は大ヒット狙いで読者ターゲットを広げてはいけません。ターゲットを絞ることで、市場のパイは小さくなりますが、そのコンテンツを必要としている読者に確実に読んでもらうことができます。その結果、重版をこつこつと重ねるスマッシュヒットも狙えます。