商業出版への近道、回り道

出版記念セミナーは出版人脈の宝庫

人間関係の距離を縮めるには?

名刺交換や懇親会で会話ができたのであれば、そこから地道に人間関係をつくっていくことになります。
翌日メールを送って「名刺交換をした○○です」とあらためて挨拶するのはもちろん、著者が別のセミナーや勉強会などを開いているのであれば、そこに足を運ぶ。もう一度、再会できる機会をつくることも大切です。セミナーを開催している立場からすれば、何度か足を運んでくれるのはうれしいですし、その人に対して好印象をもちます。
私の体験談をひとつ紹介しましょう。
私のセミナーでは自分の著作を会場に並べて購入してもらえるようにしているのですが、あるセミナー参加者は、「すべての本を1冊ずつください」と言って、20数冊の本を購入してくれました。私の立場からすれば、大量に本を買ってもらえるのは助かりますし、強烈に印象に残ります。すぐに顔と名前を憶えてしまいました。
あとで彼とじっくり話をする時間をもったとき、こんなことを言っていました。
 
「松尾さんに私のことを憶えてもらいたかったからです。それがきっかけで、縁ができれば、書籍代はコストパフォーマンスの高い投資です」
 
私は彼の戦略的な行動に素直に感心しましたが、同時に、これは出版のきっかけをつくるうえでも参考になると思いました。人間関係の距離を縮めるには、何かインパクトも必要です。
彼のように、自分から顔と名前を憶えてもらえるような行動をとることが出版への扉を開くのは事実です。
もちろん「、このような打算的なやり方は苦手だ」という人もいるかもしれません。しかし、どこかで相手と距離を詰めるような行動が必要になることは忘れてはいけません。「名刺交換をしただけの人」を編集者に紹介しようと思う著者は、まずいないでしょうから。