「出版企画書」
編集者はここを見ている

目次は50%50%の法則で

「えっ、どういうこと?」の項目が半分

出版企画書における「(11)目次」は、どんな内容の本なのかがわかる全体設計図です。編集者は、目次を見ることで、「この著者は本当にいいコンテンツをもっているのか」を把握します。
したがって、企画のテーマに沿って、自分がもっているコンテンツを出し惜しみすることなくできるだけくわしく示し、目次を構成することが大切です。
目次をつくるうえで大事なポイントとなるのは、「50%:50%の法則」で組み立てること。全体の半分の項目は、共感できる内容や本の趣旨がわかる内容で、見る人に「なるほど、そういう方向性の企画なのか」と理解してもらうのが目的です。
残りの半分は、「えっ、どういうこと?」と詳しく知りたくなるようなインパクトの強い内容で構成するのです。
 
本書の構成の中で言えば、「商業出版のメリット(1)~(5)」「出版企画書のタイトルはこう書く」などが前者の「方向性の50%」に当てはまる項目で、目次を読めば商業出版の意義から、出版企画書の書き方、商業出版への道のりまで、商業出版をするための全般的なノウハウが手に入るということがわかると思います。
 
一方で、「誰でもビジネス著者になれる『三角形の法則』」「常識だって本になる『立ち位置チェンジの法則』」「目次は50%:50%の法則で」などは、後者の「インパクトの50%」に該当します。「三角形の法則って何だろう?」と、見る人の興味をそそる役割です。このようにオリジナルの理論や考え方にネーミングをつけることで、編集者や読者にとって気になる目次になります。
「インパクトの50%」の項目をつくるコツをもうひとつ紹介しましょう。それは、世間の常識を否定することです。
「炭水化物をとっても痩せる理由とは?」「なぜビールを飲んでも通風にならないのか?」といった項目が並んでいたら、「えっ! どうしてそんなことが言える?」という驚きを与えることができます。
 
ただし、「インパクトの50%」の項目は、多すぎるのも問題です。「どういうこと?」と思うような項目ばかり並んでいると、本の趣旨や方向性が見えなくなり、「この著者の考えていることは非常識すぎる」という印象になってしまうおそれもあります。出版企画書の段階では、全体の半分くらいに抑えるのが無難です。
「インパクトのある内容をたくさん並べないと本にならない」と思っている人もいるようです。しかし、書店に並んでいるビジネス書の目次を読むと、意外性のある項目ばかりでなく、誰もが共感できるようなオーソドックスな項目も多く並んでいることに気づくはずです。本棚にあるビジネス書の章立てを眺めてみるのも、目次づくりの参考になります。
 
なお、目次をつくるときは、抽象的な表現ではなく、具体的な言葉にするのも大事なポイントです。
「いいプレゼンにするコツ」と書くよりも、「採用率が5割アップするプレゼンのコツ」と書いたほうが、企画の中身がより具体的に見えますし、インパクトも強くなります。どうしたら編集者や読者の興味を引くことができるかを意識しながら、目次の文言を選ぶことが大切です。