誰にでもビジネス書の
著者になれるチャンスはある
「自費出版」ではなく、「商業出版」をめざそう
電子書籍という選択肢はどうか?
最近は、電子書籍で出版する人も増えてきました。その手軽さから、紙の本ではなく、電子書籍で著者デビューを果たす人も多くいます。
実際、端末やサービスの普及によって電子書籍は少しずつ存在感を増しています。最近ではアマゾンの定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」などが話題になっており、将来、電子書籍が出版の主流になる可能性もあると思っています。
しかし、結論をいえば、今はまだ紙の商業出版をめざすべきです。
なぜなら、電子書籍は社会に広く浸透しているとはいえず、これからしばらくは紙の本がメインストリームであり続けると予想できるからです。
株式会社ジャストシステムが2016年に公表した「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」によると、電子書籍の利用率は19.0%と頭打ちであるのに対して、「利用するつもりはない」と答えた人が43.3%に及び、「あまり関心がない」と答えた23.4%を合わせると、7割近くのユーザーが電子書籍に関心をもっていないことがわかりました。
私自身、電子書籍をほとんど読んだことがありません。実際、私のまわりには読書の習慣のある人が数多くいますが、1カ月に1冊以上、電子書籍を読んでいる人にはめったに出会いません。
今、電子書籍で売れているのは、おもに漫画です。少なくともビジネス書を電子書籍で読む人はかなりの少数派。最近は、出版社で紙の書籍を出版すると、同時に電子書籍として発売してくれることも多くなりましたが、売上数が多いのは圧倒的に紙の書籍です。私が出版した紙の書籍のいくつかも電子書籍になって販売されていますが、売上の数は紙の書籍より2ケタほど小さくなります。
また、最近では電子書籍による出版をすすめたり、サポートする業者が増えています。
それ以外でも、ノウハウさえ学べば個人でも電子書籍を作成し、販売できるので、手軽に電子書籍を出版する人が増えているようです。
しかし、この場合も自費出版と同じで、編集者がパートナーとしてタッグを組んでくれなければ、独りよがりの本になりがちです。現時点では市場の広がりも限られるので、売上を大きく伸ばすのも簡単ではありません。
それにプラスして、ブランディングの面でも、マイナスになるケースがあります。
これはある編集者から聞いた話ですが、「電子書籍で出版している人は、紙の出版ができなかった人というイメージをもたれるリスクもある」といいます。
「電子書籍で実績をつくれば、紙の本で出版できるかも」という期待を抱いている人もいますが、電子書籍を出したばかりに、紙の出版が遠のくという事態も想定できます。
「二軍(電子書籍)の試合でホームラン王になったから、今度は一軍(紙の書籍)でデビューできる!」という時代は、しばらく先になるというのが、私の実感です。
やはり、現時点では電子書籍を出版した人より、紙の書籍で商業出版した人のほうに信用度の面で軍配が上がるのは間違いありません。
もちろん、電子書籍がこれから急激に普及する可能性もありますが、今はまだ過渡期であると考えるのが妥当といえるのです。