書いた本を売るために
大切なこと

2冊目の出版ができる人、できない人

ビジネス書は発売から2週間が勝負!

すでに述べたように書店には毎日、新刊が大量に届きます。しかし、売り場はかぎられるので、売れない本は棚から外され、また新刊が並びます。書店は何のリスクもなく出版社に返品できるルールになっているので、売れ行きが悪い本はすぐに返本してしまうのです。
だから、本を売るにはスタートダッシュが大事。ビジネス書のジャンルでは、新刊書籍として平積み(目立つように表紙カバーを上向きにして複数の本が積まれること)されやすい発売後2週間が勝負と言われています。
この期間で売上の初速が悪ければ、在庫のほとんどは返品され、よくて棚に1冊残るだけです。棚にさされてしまえば、背表紙しか見えないので読者の目に留まる可能性は一気に小さくなります。ここから巻き返して平積みを確保するには、よほどのことがなければ不可能です。
 
逆に、発売直後から売れ、初速がよければ、書店は「たくさん並べれば、もっと売れるかも」と追加注文してくれます。そうして全国的に本の露出が増えていけば、読者の目に留まる可能性もおのずと高まります。このようなプラスの循環ができれば、重版がかかりやすくなります。
だからこそ、著者は発売後2週間で売上を伸ばすために、できるかぎりのことをしなければなりません。そのためには、本が発売されてから、何かをしかけようと思っても手遅れです。「どうしようか」と思っているうちに、2週間はアッという間に過ぎていきます。
 
準備は発売される前からしておく必要があります。
これは選挙と一緒。公示されてから街頭に立っても手遅れです。当選する人は、落選した次の日から駅前などに立って、次の選挙に備えています。そうした事前の準備の積み重ねがあるから、本番で力を発揮できるのです。
 
ただし、原稿を書き終えてもいないのに、販促ばかりに力を注ぐのは本末転倒です。ある編集者は「売ることに積極的なのはいいのですが、原稿をまだ何も書いていないうちから、販促プランの提案ばかりされても困る」と話していました。
売るための準備をすることも大切ですが、いい原稿を書くのが先決。中身のない原稿では、どんな販促に力を入れても売れませんし、かえって「買って損した」と読者の評価を落とすだけです。