「出版企画書」
編集者はここを見ている

今なぜ、この本を出版するのか?

企画概要はこうつくる

「(6)企画概要」は、出版企画書の骨格となる部分です。
企画概要は、この本を企画したわけ、そして、この本が売れる理由を示します。とくに企画概要は大事な部分なので、時間をかけてくわしく書く必要があります。
勘違いしてほしくないのは、「本の概要」ではなく、「企画の概要」である点です。「この本の内容は……第1章で○○について述べ、第2章で……」といった本の構成については目次案で示します。あくまでも編集者に「この本は売れそう」と思わせる企画の概要でなけれ
ばなりません。
企画概要に書くべき内容は、次の5つに分解できます。
 
1.ターゲット
「誰の役に立つのか」という視点です。
ビジネス書のターゲットは絞り込み、具体的に表現するのがポイントです。「人間関係で悩んでいる人」「成功したいと思っている人」など、主観的な判断しかできない要素のみに絞り込むのは避けたほうが無難です。ターゲットが広がる分、競合も増えます。
「親の小さな会社を継いだ二代目経営者」「ラーメン店の開業を計画している人」「年下上司のパワハラに悩んでいる人」というように、具体的な顔が見えるようなターゲットを設定するのがポイントです。
 
2.価値
「この本がどんな役に立つのか?」という視点です。
先に述べた新幹線理論を思い出してください。「欲や快楽、夢や希望を叶えるため」「恐怖や苦痛から逃れるため」「時間を短縮するため」が本の価値になります。どれにも当てはまらない場合は「価値がない」という結論になります。
「TOEICの点数が200点アップする」「FX投資で副収入を手に入れる」「その他大勢から一瞬で抜け出せる」など、「1.ターゲット」にとっての価値を明確にしましょう。「価値」は、企画概要の中心になる要素です。編集者に「どんな役に立てるのか?」と質問されたら即答できなければいけません。
 
3.独自資源
「なぜ役に立てると言えるのか」という視点です。
「2.価値」を提案するに相応しい立場であることを証明します。
独自資源は、自分の経験や知識、ノウハウ、資格など、「他人にマネできない持ちもの」だと考えてください。
独自資源のない、もしくは弱いテーマは「なぜあなたが語るのか?」と編集者につっこまれ、語る資格がないと判断されます。
「偏差値40アップした」「元ソニー管理職」「転職50回」「元ブラック企業社員」など独自性の強い資源であればあるほど効果的です。
 
4.市場規模
「どのぐらい売れるのか?」という視点です。
企画に興味をもってもらうには、本を買ってくれる人数が多いことを証明する必要があります。
公的な統計や調査会社の資料などを使って証明するのが一般的です。統計や調査資料を、キーワードから検索できるまとめサイト(調査のチカラ:http://chosa.itmedia.co.jp/)などもありますので、うまく活用してください。
そのほか、市場規模を証明する方法として、擬似的な指標となる「ネット社会のニーズ」を引用するのも有効です。ほとんどの場合、読者市場はネット社会での市場と比例すると考えられます。
 
ネット社会のニーズを測定する具体的なツールとして「Google AdWords キーワードプ ランナー」というものがあります。もちろん無料です。
このツールを活用することで、特定のキーワードが「どのぐらい検索されているか」を調べられるので、キーワードに対する社会のニーズの広さを知ることができます。
出版企画書の段階では、「売れそう感」を醸し出すことが重要です。自分のテーマの市場規模が大きいことを示すデータを積極的に探してください。
 
5.企画の背景
「今、なぜこの本を出版しなければならないか」という視点です。この本をなぜ去年ではなく、来年でもなく、今、出版しなければならないのか、理由づけをします。
 
たとえば、アベノミクスが好調な時期であれば、資産運用の企画テーマをつくって、「これから株価が上がることが想定され、資産運用も活発になると想定できる」と説明します。世界の政治情勢が激しく動いている時期であれば、「ビジネスに必要な地政学」といった企画テーマをつくって、その時代背景と理由を記せば、説得力が増します。
 
「企画概要」は以上の5つの要素を説明することで、骨格をつくることができます。企画の質は「企画概要がしっかりしているか」で決まります。スキのない企画概要をつくるために、十分な時間を使って考えてください。