市原 義文さま(第34期)

市原 義文さま(第34期)
《 著書 》『アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート: 新商品、新事業をつくる人は、最初にどこを見ているのか?』
(三笠書房)2023.7.20

出版の動機

32歳で転職した外資系コンサルティングファームは、優秀な社員が本当に多かったのですが、その中にさらに優秀な方がいました。その人は、コンサルタントとしてもすぐれていましたが、それとは別に自分の本を出し、本業であるコンサルティングをしながら、講演などで会社の顔になっていたと同時に、自由に人生を謳歌していました。その姿を見て、自分もいつかは本を出し、自由に纏われた人生を歩みたいと思っていました。ただ、あくまでも漠然として思いであり、気づけばもう20年以上の時間が過ぎていました。
あるとき、知り合いの転職エージェントと面談する機会があったのですが、その人が書籍を出したのを知っていたので、面談時に「なぜ本を出せたのか」と聞いたのがすべての始まりでした。ちょうど、翌週に出版セミナーがあるという絶好のタイミングで、今が出版に踏み込むチャンスだと思い、ネクストサービスと関わることになりました。

スクール受講前の悩み

経営コンサルタントとして独立し1年半ほど経過していました。ある企業の新規プロジェクトに参加していたのですが、プロジェクトとして人的な問題が多く、瓦解寸前だったこともあり、新しい展開を探しているものの、なかなか良い仕事に出会う機会が少ないタイミングで、何かやり方を変えないと、自分の会社のこの先の展開はあまり明るくないかもしれないという危機感に襲われていたところでした。自社の在り方や、自分の生き方そのものをどうしようかと日々考えている状況でした。

スクールに参加して良かったこと、苦しかったこと

執筆はかなり苦労しました。スクールで考えた出版企画書とは違う内容で出版することになったこともあり、出版まで約1年半かかりました。次々と同期が出版してことを横目にみながら、なかなか執筆が進まない状況に気持ちが焦ったこともあります。数か月は全く書くことができなくなり、気持ちが出版から離れてしまった時期もありました。そんな時、ふとスクールに顔を出した時に、親身になってくれる講師やコーチ、OBの方々からの、何気ないアドバイスが本当に役に立ったことを覚えています。
また、個性的な同期の存在が、良い刺激になりました。これまで、それなりに多くの企業と仕事をしてきた自負はあったのですが、それでも「そもそも出版をしよう」という変わった?人にはこれまで会ったことはなかったようで、本当に貴重は出会いでした。今でも時々コンタクトできる仲間がいるのは、出版とは違う別の財産を手に入れたように思います。
私は三笠書房という老舗出版社で本を出しました。ここは、老舗というだけはなく、本当に良い本を作ろうとする姿勢がとても強く、何度も書き直しをすることになりました。今思えば、この時間は私には必要なことでしたし、最後まであきらめずに一緒になって協力してくれた編集者には心から感謝しています。蛇足ですが、家内が三笠書房の大ファンということもあり、ここで出版できると決まった時からの反応はすごいものでした。家族の協力も出版には欠かせないと思います。この出版社との出会いができたことにもネクストサービスには感謝しなくてはなりません。
出版後、編集者を入れてお礼の食事会をしたのですが、飲みすぎ、語りすぎで、結局で電車がなくなってしまうほど騒げたのも、いい仕事ができたおかげだと、嬉しい限りでした。

オーディションが終わってから出版までの苦労

私はオーディションの前に内定をいただいたという幸運に恵まれました。ただ、あくまでも内定であり、出版のチャンスをもらっただけです。スクールで作成した出版企画書は全面的に書き替えることで、三笠書房の出版会議を通過しました。それから出版までは1年半を要しています。本当に執筆は苦労しました。同期のアドバイスもあり、基本的には朝6:30から執筆をしていましたが、自分も出版社も家族も納得できる文章が出来上がったのは、執筆を開始してから1年2か月後です。約300ページの本でしたが、1500ページ以上は書いてはやり直しを繰り返していました。自分が書きたいことを書くのではなく、想定している読者が読みたいものを書くという現実とのギャップを埋めるのに、私の場合はこの時間が必要だったのだろうと思います。出版社からは出版後、2年以内に出版できれば早いほうですよ、と言われたのですが、今思えば、何ひとつ焦る必要はなかったです。焦るくらいなら、諦めないようにすることです。

できあがった本の感想

とてもいい本ができました。「ノート」という縛りがなければ、もっと違う展開もあったかもしれませんが、見事な本に仕上がりました。装丁は希望の「赤」にあり、さらには「箔」がつきました。文字通り、箔が付くとはこのことだったと思います。そのせいで、売価が100円上がったようですが、書店の中でもとても目立つ、見事な仕上がりです。三笠書房の場合は、装丁のデザインに自分の意見を反映させることはほとんどできません。それでも、思った以上になったのは、時間をかけたことで、編集者と私の理解が深まったおかげかと思います。かけた時間の分だけ、良いモノができるように思います。すべてが自分にとっては初めての経験ですし、プロと仕事をすることの面白さを改めて楽しみました。
発売は2023年7月20日。初版部数は8000部と、新人著者で、しかも最近のビジネス書の売れ行きを考えると、異例に多い部数となりました。実は、編集者と打ち合わせをしている最中に初版部数が決まったのですが、5-6000部くらいだというのが編集者の予測でした。「市原さん、今メールで初版部数の連絡が来ました。何と、8000です!」と二人しばらく沈黙していたのを覚えています。ようやく発売日を迎え、紀伊國屋書店本店や丸善などの大手書店に自分の本が平積みされているのを見た時は感動しました。紀伊國屋書店本店では、陳列場所も3階だけでなく、1階のとても良い場所を確保してくれたりしたおかげもあり、2か月後の9月20日には重版2刷が決定。2000部が追加され、10000部の大台に乗ることができました。10000部って、本当にいい響きです。個人的には重版になった後の方が、出版した時よりも周りの人の反応がよかったように感じます。目標はもっと高いのですが、今後も地道にネットや講演などを通じた告知を続けて、1冊でも多く本を届けれればいいと思っています。

出版後に変わった事

名刺代わりに出版をしたいという思いがあったのですが、反応は想定通りでした。実際に名刺に本の名前を入れましたが、名刺交換時にこの話題を入れることで、相手の反応が良くなったのはもちろん、「覚えめでたく」なることもしばしばです。加えて、勝手に人脈が広がっていきます。出版してからというもの、いろいろな会合に呼ばれます。本人は意図していないことがほとんどです。ネットワークが劇的に広がるのです。それも勝手に。最近は、本を読んだということで連絡してこられる方が増え、講演依頼やラジオ番組にいくつか出演しています。ラジオは無償で出演していますが、講演はもちろん有償です。依頼される内容が変わり、受講者が経営層に一気に変わったことも変化のひとつですが、もっとも違うのは講演料です。出版前と後では(詳しいことは言えませんが)講演料は数倍以上上がったように思います。

著者スクールを検討している人へのメッセージ

あまり安易に考えてはいけないと思いますが、ネクストのカリキュラムはよくできています。素直にカリキュラムに沿って考えていけば、出版ができる可能性は大いに高くなると思います。ネクストサービスでは、出版に最低限必要なことを短期間で、かつ網羅的に学ぶことができます。ただ、それでも最後はあなたご自身が「諦めない」ことです。サラリーマンの方でも、自営の方でも、それ以外の方でも、もし今の状況を少しでも変えたいと心から思うのであれば、このカリキュラムをこなしてみてはどうでしょうか。出版のすごさは、出版してみないと残念ながらわかりません。だからこそ、出版に挑戦してみるべきだと強く言いたいです。

プロフィール

市原義文(いちはら・よしふみ)
1967年、熊本県生まれ。経営コンサルタント、マネジメント代行。
株式会社シャイン&コー代表取締役。
学習院大学経済学部卒業後、日産自動車を皮切りに、外資系大手コンサルティングファーム、ローソン等で多数の新事業企画の立ち上げに従事。ローソン在籍時には、国内最大のポイントカード「Ponta」を企画立案、大成功に導き「Pontaの父」と呼ばれる。また、コンビニ業界初の「セルフレジ」「デジタルサイネージ広告」「全社高速ネットワーク化」を開発するほか、「初の企業内起業」を実現した。
ローソン退職後は、PEファンドの出資先複数社に経営者として入り、企業価値向上に貢献。売上規模数億円の企業から100億、1000億円超規模の事業再生を実現した。2020年4月より現職。